休職について
休職について
人間関係の悩み、過重労働など、"精神的なストレス"からうつ状態になることを、"適応障害"といいます。
更に状態が悪化すると、"うつ病"へと進行していきます。
その場合には、早めに仕事から離れて、心と身体を休めることが一番大事になってきます。
そのためには医師の作成した診断書を提出し、自分自身の状態や休養が必要な旨を職場に証明する必要があります。
多くの方は身体や心に症状が出てくるほど我慢し、受診されます。
仕事を休むこと、理不尽な人間関係から離れることは、逃げることではありません。
また、自分の心と身体の健康を守るのは、自分自身しかいません。
疲れた心と身体に休息を与え、健康を取り戻すための手段の一つが、休職になります。
休職相談は当院まで気軽にご相談下さい。
休職を考えた時に
できれば前もって、休職に必要な書類や手続きなどについて確認しましょう。
会社の就業規則などを確認し、休職可能な期間はどのくらいか、休職中は給与の支払いがあるか、
復職する場合はリハビリ出勤や時短勤務から開始できるか、復帰の際に異動などが可能かなど、
調べられる範囲で構いませんので、予め理解しておくと安心です。
休職の期間はどれくらい??
一般的には、トータルで2ヶ月から3ヶ月程度の期間になることが多いです。
ただし患者さんの状態や会社の就業規則、勤務年数などによっても、休職できる期間も変わってきますので、
患者さんと相談しながら決めていくことになります。
まず2ヶ月程度の期間で診断書を作成し、その後必要に応じて延長するケースが多いかと思います。
休職の流れ
心療内科・精神科を受診し、医師から診断書を作成してもらう
(当院では受診当日に発行し、ご自宅に郵送致します)
↓
上司もしくは人事総務部などに、診断書を提出する
(直接渡すのが難しい場合には、郵送でも可能)
↓
可能であれば即日、引き継ぎなどあれば最低限のみ行い、速やかに休職に入る
↓
休職中はしっかり自宅で療養しつつ、最低月一回程度診察を受ける
多くの場合、月ごとに傷病手当金の申請を行う
↓
主治医の許可が出れば復職に向けて、職場と調整を行う
(患者さんの希望によっては、退職や転職となる)
休職中の収入について
休職中は給与の代わりに、健康保険組合から"傷病手当金"が支払われます。
病気などで仕事ができない場合、生活を保障するため、給与の代わりに健康保険組合などから支給されるものです。
患者さんによって多少の差はありますが、給料の3分の2程度が最長1年半の期間、保障される制度です。
受給するためには、傷病手当金申請書に医師による証明が必要となります。
病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(=待機期間)の後、
4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
※傷病手当金以外にも、独自の給与保証がある会社もあります。
傷病手当金についての注意点
1. 最低限月に1回の診察が必要
申請する期間の状態や、医療関の受診日を健康保険組合に示す必要があります。
受診が一度も無い月は手当金が支給されません。
また、診察が無い以上申請書の記載も出来ません。
毎月の診察を忘れないよう、くれぐれもご注意ください。
また、傷病手当金支給申請書の申請が通るかどうかは各保険者の判断になりますのでご了承ください。
2. 記載日までの期間しか証明できない
傷病手当金は休職した期間を遡って請求するものになります
(前もって、未来の期間を請求することは認められておりません)
申請書の中には、”労務不能と認めた期間:令和○年○月○日〜令和○年○月○日”と医師が記載する欄があります
その期間に就労が出来なかった証明になりますので、その期間が過ぎてからでないと医師は記載・サインが出来ません
1月1日〜1月31日の傷病手当金を申請する場合、医師がその証明を出来るのは1月31日以降になります
1月20日の時点において1月分全ての記載を希望されても、証明および発行ができないので注意が必要です
請求期間の締日が過ぎてからの郵送をお願い致します
3. 初診日以降の証明しかできない
医療機関では初診日以降の分しか申請書の記載ができません
これは患者さんとお会いする前の期間については、医師として症状を証明することが出来ないからです
そのため、傷病手当金申請を検討されている場合には、早めの受診をお勧めしております
当院への申請の仕方
各健康保険組合の書式がありますので、指定の書式を当院に郵送して頂ければ、医師記載欄を記載し返送いたします。
データやメールでのやり取りは、個人情報保護の観点からお受けしておりません。
申し訳ありませんが、紙ベースでの郵送でのやり取りを、お願い致します。
※最低月に1回の診察がなければ、支給されなくなりますので、ご注意下さい。
休職中の過ごし方について
休職に入ってしばらく、1週間〜2週間程度はゆっくり体を休めるようにしましょう。
その後体調と相談しながら、徐々に運動や趣味、外出などを行い、体力の回復に努めます。
うつ病が順調に回復していくと、少しずつ気力が出てきます。
それに伴い活動量も増え、外に出て何かをしてみようという日も増してきます。
気力が湧く日もあれば、そうでない日もあります。
休職者には大切な「規則正しい生活リズム」
「動こう」という気分になるのを待たずに渋々でも起きてみたら案外やる気が出た。
思ったより気分良く過ごすことができた。
一度試してみたら、いい結果が得られたので、続けて行動してみようと思えた。
行動してみたらいい気分になったので、もう一日やってみようと思った。
簡単に言えば、このようなサイクルを作り上げるやり方です。
これは確立された心理療法の手法のひとつです。
コツは「行動してみることで、達成感を得る。そしていい気分になる」ということ。
人間はご褒美をもらえるとわかっていれば、それに向かい努力ができる生きものですから、
達成感やいい気分というご褒美を目の前に置けば、思いのほかやり遂げられてしまうのです。
まずは、「行動活性化」を利用して、生活習慣を改善してみましょう。
休職生活の質を上げる「自己効力感」
自分に対する「やれる」の感覚「自己効力感」も上げてみてはどうでしょう。
最近、ビジネスの世界でも話題に上ることの多い「自己効力感」という考えはバンデューラという心理学者が提唱したものです。
「自分はやれるだろう」と信じる期待感のようなものです。
この期待感が上がれば、しり込みしてしまうようなことや気が進まないことに対して取り組むモチベーションが上がります。
先の“規則正しい生活リズム”という課題を例に、説明してみましょう。
朝7時に起きることを目標に設定します。
7時に起床できました。
(この段階で“何もできない自分”ではありません!)
次の日も7時に起きることができました。
(自分は案外やれるのかもしれないという気がしてきます。
なぜなら、昨日も目標を達成できているからです(^○^))
7時の起床が三日続けばどうでしょう。
このような成功体験の積み重ねが「案外やれる」「結構やれる」という自分への期待感や自信につながります。
この自信があれば、少し手の込んだ朝食を作ることにも挑戦できるかもしれません。
寝床から出ることすらできなかった生活を思えば、朝食のために卵をゆでるだけでも大進歩です。
生活の質も変わると同時に、もしくはそれ以上に、自己変革が進んでいきます。
この自己変革は復職を見据えたときにとても重要になってきます。
まずは、ここに書いたような小さな積み重ね、スモールステップを達成することを目指しましょう。
自分で達成するのがもっとも自己効力感の強化につながりますが、
同じ悩みを持つ人が達成している姿を見ることや、
「あなたは達成できる人だよ」と声をかけてもらうだけでも効果があります。
復職の仕方
しっかりと自宅療養を行い、心身ともに健康な状態に近いところまで回復したら、復職に向けて相談していきます。
元の部署に戻る方、あるいは配置転換や部署異動を行い環境を変えて戻る方など、復職の仕方は患者さんによって異なります。
症状の再発再燃を防ぐため、働きやすい環境で復職することが大事です。
職場としてどこまで対応できるか、患者さんの希望はどうか、そのあたりを相談しながら、復職の時期・方法を決めていきます。
職場の対応が可能であれば、異動後の復帰や時短勤務での復帰を検討し、職場と摺り合わせていきます。
もちろん休職後に"転職"を選択し、新しい環境で仕事に復帰される方もいらっしゃいます。
復帰の仕方は人それぞれですので、休職中にご相談して決定していきましょう。